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新 雅史 さんの「商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道」をKindleで読了。KindleといってもiPhoneのアプリ上の話。青空文庫アプリと変わらないのだが、どことなく読みやすくなっているのはさすが。Kindleで初めて読んだのが標記の新書。筆者は1973年生まれなので僕より3つ下。僕と同世代といって良いだろう。後書きにある、「非常勤講師で糊口をしのぎ・・・云々」は数年前の自分を見るようで身につまされる。
内容は商店街が如何にに成立し、衰退してきたかを資料と照らし合わせながら詳細に解説している。商店街が政策的に人工的に作られたもので、近代的家族がその経営を担ったことが衰退の肝としている。商店街の活性化がらみでお手伝いをしたり講演したりするときに感じる内容と符合することが多く納得。
最終的な結論として商店街を維持した方が良いというのも同意見。地域のセキュリティやセイフティーネットとしても重要との指摘はその通りだと思う。またサラリーマン以外の選択肢がないことが、若者の人生観を貧しくしているという指摘も共感する。東京の私立大学は特にそうだと思うが、小生が勤務する大学などではほとんどの学生がサラリーマンの子弟で、自営業者の子供はかなり少ない。いても地方都市の出身者であったりすることが多い。研究室には30名ほど学生がいるが、親がサラリーマンでないのは、この本の筆者の両親と同じコンビニを経営している一人だけで、将来は起業したいと言っているのも彼だけである。大多数の大学生にとって、小規模な自営業になるなど想像もできないだろう。
一方で若者の失業やニートの数は増える一方で、雇用問題が再浮上するのは間違いない。その吸収先として自営業はもっと再評価されるべきだと思う。
巻末でどうすれば商店街を再生・再整備できるのかという提案があるが、内容が乏しいのが少し残念。小生もいろいろ考えたことがあるが、まずはの策として道路使用許可の緩和を提案している。シャッター通り化している店舗にせよオーナーはいるし、週末開店にせよそれなりの資金がいる。シャッター通り化している歩道や道路で露店を開業できる条件をもっと緩和すべきだと思う。韓国へ行くと食べ物にせよ、雑貨にせよ、売っている屋台・露店がやたらと多い。観光地でもない、何の変哲もない街角にもある。日々の生活のため、あるいは小遣い稼ぎのためと思われるが、多くの日本人が韓国を訪れるのは、こういう風景に活力を見るからではないだろうか。まずは小商いを始めるハードルを下げて、新規参入者を増やすことが大事だと思う。


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