TEL:0480-61-0850
FAX:0480-62-7900
info@ryuzoji.jp

昭和54年。親父が39歳の時、一心寺で五重相伝を行っている。導師は林霊法先生。小さい時に百万遍の御前さんとよく耳にした先生。五重相伝というのは、大体五日間くらいの時間をかけて、法然上人の教えを集中講義で聞いて、信仰を確かにしようという会。通常、五重を終えた人には戒名が与えられる。すまり、プチ出家の機会なのだ。
一心寺は戦争でほぼ全焼してしまったので、五重をやる余裕がまったく無かったのだが、戦後約30年にしてようやくの開催できるとことまで復旧したという事だろう。
(その後やっていないのは色々事情があるらしい)
この本は、その時の林先生の講義を一冊にまとめたもの。浄土宗のHPでは、「教えの真髄や奥義を伝えるため、詳しく説明することはできません」などとしみったれた事を書かれているが、この本では全面公開。目次を見ながらぱらぱらとめくっただけだが、内容的には現代的な信仰の持ち方から、日常的な生き方まで、平易に書かれている様子。この本自体は何度も見かけているのだが、そういう気持ちになったのは初めてで、期が至ったのだろう。
林霊法先生は名古屋の東海高校の校長先生をされた後、京都百万遍知恩寺の御前さんになられた方なのだが、戦前は反戦運動の闘士として治安維持法で検挙されたりしている。昭和24年から36年まで校長を務め、多くの若者に影響を与えている。建築の世界で「共生」という言葉が非常に一般化しているのは、建築家黒川紀章が1987年に「共生の思想」という本を出して世に広まったためとされているのだが、元もとは1922年に椎尾弁匡先生らが仏教的な生き方として唱えた「共生」が、その後継者である林霊法先生を通じて、東海高校の学生だった黒川紀章に伝わったとされている。ちなみに「〈森の思想〉が人類を救う」や「共生と循環の思想」を書いている梅原猛も東海高校出身で椎尾先生や林先生の教え子。
まずは、読むところから始めよう。


0 Comments

コメントを残す

Avatar placeholder

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください