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さて、少し間が空いてしまいましたが、これまでの内容を踏まえここでは最後に提案した3つのプロジェクトを紹介したいと思います。
講演では今すぐ取り組むべき3つのプロジェクトを紹介しました。

  1. 会の川を緑あふれる散歩と出会いの空間に
  2. 駅前をタクシーの空間から交流空間へ
  3. 加須のシンボル 鯉のぼり×ボルダリング

一つ目は会の川プロジェクトです。
会の川がお寺にとっても、また日本土木史上においても、実は貴重で重要な川であることは「その1」で紹介しました。
加須市は「会の川沿線整備計画」を定めています。加須市総合振興計画でも「沿線の機能を維持し、潤い、ふれあいを提供するとともに、安全性・利便性の向上を図るための計画」と触れられているのですが、残念ながらその計画自体は加須市のHPを探しても見当たりません。一番詳しそうなのは、埼玉県が募集していた「川の国埼玉 はつらつプロジェクト」への市の提案書で、イベントや護岸整備の方針が書かれています。(この提案は採択されたようで、市のホームページにもその旨掲載されています)
この手の計画は、理想を追求というよりは県が用意した補助メニューに合致する提案を優先するのが定石なのですが、この提案を見ても、護岸工事の計画立案に3千万円、工事に3.5億円も見積もっているのに、市民や観光客に直接関係しそうなベンチや看板の設置は、全部合わせても2千万円弱という規模で、どこに重点が置かれているの明らかな内容になっています。護岸工事も大切ですが、従来型の護岸工事をしてどう「はつらつ」となるのか、これからの経緯を見守りたいと思いますが、予算配分の考え方からしてもあまり期待が持てそうにありません。

しかし、この提案書には一つ重要なことが書かれています。それは公共下水道接続率が会の川沿線にあたる不動岡三丁目、馬内、北小浜では50%しかないとされていることです。公共下水道に接続されていなくても、合併浄化糟が設置されていれば問題はありませんが、このご時世に河川に雑排水を垂れ流している世帯があるとすれば、観光客云々以前の問題として恥ずべき状態だと思います。一刻も早く、上流の自治体とも協力し、下水道・浄化糟100%を達成することが先決だと思いますし、泳げる「会の川」実現の第一歩として極めて重要だと思います。

市の提案にもう少し具体性を持たせるとすれば、

  1. 護岸は多自然型護岸とし、沿道を緑道として、市民や周辺住民と協力して管理する体制を構築する
  2. 水位を一定とすることで、動植物の持続的な繁殖を可能とする
  3. 市民として自慢でき誇れる景観を実現する

といったことが、副次的に実現出来れば(私はこちらが主だと思いますが)、加須市の「川の国埼玉 はつらつプロジェクト」もより一層すばらしいものになるのではないかと思います。

講演では静岡県三島の源兵衛川の写真を紹介しましたが、目標を定めるならこれくらい志は高くしないと、少なくとも観光的には訴求力はありません。
緑豊かな緑道は周辺不動産の価値向上と強い相関が不動産学会の論文でも示されています。町としての魅力を高め資産価値を維持するに、美しい緑道の整備や河川が有効であることは広く知られるようになってきましたし、何よりも市民が誇りに思うことが大事です。そのためにも会の川プロジェクトは大切だと思います。

三島 権兵衛川

出典:http://sanpo.lolipop.jp/

※講演の内容に最新の情報を加筆しています。

次は「駅前をタクシーの空間から交流空間へ」です。