副住職 講演録5 加須を元気にする3つのプロジェクト 2

次のプロジェクトは駅前についてです。お寺から駅まで自転車で通勤していますと、既成市街地、特に駅近で駐車場が増えているのが気になります。
Google Mapで駐車場らしき空き地をマッピングしてみると、駅北だけでも下の絵のようになります。おそらく見落としている駐車場もあるでしょうから現実はこれ以上に駐車場化が進んでいることになります。これらの駐車場は元は大きなお屋敷であったり、商店だったところが多いように思います。

 

住まい手が高齢化して敷地の管理が面倒、かといって売るほど困ってはいない。そういったことで家を建て替える際に余った敷地を駐車場にしたり、商売を廃業した跡地が駐車場になったりしているケースが多いように思います。特に駅前の中心市街地では、商業の衰退と通勤者向けの駐車場需用の増加が相まって、駐車場が増えています。しかしこのバランスも早晩崩れると考えられます。中心市街地の商業はますます衰退しますが、早晩通勤者向けの駐車場需用は頭打ちになります。つまり供給過剰になるわけです。

すこし脱線しますが、中心市街地活性化の大きいテーマに、商店街の活性化があります。日本中で商店街の活性化が叫ばれ、様々な取り組みがされていますが、成功している所はほとんどありません。商店街衰退の背景については、「商店街はなぜ滅びるのか (新 雅史著、光文社新書)」などに詳しいので、関心ある方は読んで頂ければと思いますが、整理すると

  1. 地域における商業施設は十分に足りている、むしろ余剰気味
  2. 商店の専門性の不足(品揃え、魅力、営業時間)
  3. 跡継ぎの不在(基本的に商店主は子弟をサラリーマンにしたいと考えた)
  4. 自動車による移動可能距離の増大

高齢化が進むと、歩ける範囲に商店があることが大事と考えるまちづくりの専門家もいましたが、自動運転車が普及すればそのようなニーズも減退しそうで、商店にはますます逆風となりそうです。

一方で、加須駅の乗降客は減少の一途をたどっています。1998年には1日1.7万人の利用者がいましたが、2008年には1.5万人、2015年には1.4万人と、約20年で3000人も減少しています。加須から都市へ通勤する場合、1時間から1.5時間かかりますので、通勤時間から見た都心通勤者向け住宅地としての競争力はほぼありません。現在の通勤者の退職と共に、通勤車向けの駐車場需用はどんどん減っていくと考えられますし、都心周縁部での人口減少、つまり住宅供給の増加が進むことを考えれば、加須から転出する世帯も増加するでしょう。

この状況の象徴が、貸しコンテナ倉庫です。
↓ こんなやつです

(引用:http://www.bigbox.jp/cgi-bin/db/search/index.cgi?no=1121&mode=detail)

加須市内でもちらほら見られますが、これは駐車場需用が減退して、市街地でも駐車場事業がこれ以上成立しなくなっています。この貸しコンテナ倉庫には、管理人は常駐していませんし、夜は暗く、人の往来もほとんどありません。街の活性から見れば極めて危険な兆候であり、瀬戸際に来ていることが分かります。

しかしこれは街の魅力を高める契機と捉えれば、絶好の機会と考えることもできます。これから自動運転が普及すれば、自動車保有台数は劇的に減少すると考えられています。通勤者の減少以上に駐車場需用は激減する(大前研一は乗用車は7割減少すると予測しています)と考えられるので、駐車場に使われていた土地を何かに転用する必要が早晩発生することになります。この時にコンテナ倉庫にしてしまうのか、戦略をもって街の再生に取り組むのかで、加須の今後は大きく変わってくると思います。

そのきっかけとなるプロジェクトを提案したいと思います。
加須駅ビルの建て替えです。
加須駅ビルは1985年に竣工し、32年が経過しています。建築的な性能でいえば、耐震基準の改正が行われた1981年以後に建てられた建物なので、耐震的には問題ないように思えますが、あくまでも耐震基準は最低基準であってそれで安心というものではありません。この10年以内には建て替えをどうするか検討しなければなりません。その際に考えなければならないのが周辺の駐車場をどう考えるのか、同然駅前広場も視野に入れなければなりません。そして駅前を中心とする中心市街地を住民交流の場としてどう再生するかです。

私案としては、市内に散在し、建物の更新期を同様に迎える公共施設(保健所、公民館など)を集約する5~6階建ての複合施設にすること。地上部に2~4階程度を駐車場として残った駐車場需用に対応できるようにすること。この駐車場は将来の需用減少に備えて上から事務所などに転用できるように計画すること。
バスやタクシーなどは2階レベルで停留できるようにして、乗り換えを至便にすること。駅前広場と一体的に整備して駅前を市民の為の広場として開放すること。
などが考えられます。

例えば駅前広場、ロータリーについて言えば、北本駅前多目的広場はまさにこの時代の要請に応えるものとして参考になります。

(引用:http://www.city.kitamoto.saitama.jp/shisetsu/2/1418968214461.html)
この駅前駐車場はイベント開催に備えてコンセントなどが事前に埋設してあります。

まず、こういった事業をきっかけに、不要となった駐車場を基本的には住宅に転用することが重要です。スプロールした町の人口を中心部に集めて交流機会を増やすことが町に魅力には不可欠です。町にそれなりに人口密度があれば、レストランやカフェといったスペースを維持できる可能性が高まります。その際、住宅は緑豊かで景観的にも質が高いことが重要です。どうしても加須に住みたい、そういった愛着、最近はシビック・プライドともいいますが、を育てていくことが大切で、それを計画しなければなりません。

例えば、タクシーやバス、出迎えなどから解放された駅前広場では、フットサルコートなどを設けても良いと思います。そうすれば駅前にもっと人が集まり、活気が出てくるのではないかと思います。