令和に想う

謹んで新天皇陛下ご即位のお慶びを申し上げます。

五月一日に平成から令和になりました。もう少しお祭り騒ぎになるのかと思いきや、小生の廻りは普段と変わらず、これといった盛り上がりもなく淡々と平成が終わりました。TVを見ていると、大晦日さながらに盛り上がった方々もおられたようですが、皆様はどうでしたでしょうか。

さて、令和の令の字が命令の令であるとか、万葉集が元ネタといいつつ、その元ネタは漢籍にあるとか、いろいろありましたが、個人的には呼びやすく馴染みやすいように感じます。いかんせん昭和生まれですので、〇和というのに弱いのかも知れません。

この令という字ですが、あまり日常的には見かけないように思うのですが、先日お経を読んでおりますと、二カ所に令の字が使われていることに気がつきました。
観無量寿経の一部で、一般的には「第九眞身観文」通称仏身観と呼ばれるお経です。お釈迦様が弟子の阿難と王妃韋提希に語る体裁を取りながら、阿弥陀仏の特徴が細々と説明され、佛を観察する瞑想方法が念仏三昧として示されています。「光明遍照十方世界念仏衆生摂取不捨」という有名な偈文もこの中に入っています。令の字は、
「其光明相好及與化佛 不可具説 但当憶想 心眼見 見此事者即見十方一切諸佛 以見諸佛故名念仏三昧」
「但観眉間白毫極明了 見眉間白毫者八万四千相好自然当現 見無量寿佛者即見 十方無量諸佛 得見無量諸佛故 諸佛現前授記」
というところで出てきます。この二つを超訳すると、前者は
「佛の特徴、その一つ一つが放つ光を言葉で説明することはできない。ただ心に思い浮かべるのみ。心の目で見るのだ。これを見ることはすなわち十方の全ての佛を見ることになる。そしてこの全ての佛を見ることを念仏三昧という。」という、念仏に関する極めて重要なパートです。もう一つの方も関連した内容で
「佛の眉間にある白毫を集中して見なさい。白毫に集中すれば佛の八万四千の特徴も見えてくる。無量寿佛を見ることはすなわち十方の全ての佛を見ることである。全ての佛を見ることができれば、それら佛の前で授記が与えられる」と。
いずれも、上座部仏教のヴィッパサナー瞑想に近い内容で、深く佛の姿を観察し瞑想すれば、佛の姿を細かく細かく観察し分解していくと、そこに世界がある。そして将来の成仏が約束される(授記)ということが語られています。つまり、念仏三昧を通じた悟りへの道筋が示されているわけです。

ここでの令は、〇〇しなさい的な意味で、政府がいうような「立派な、清らかで美しい」 というような意味ではありませんでしたが、偶然にも十分に重要なところで使われている文字でした。

実は仏身観はお葬式でよく読まれるお経で、壇信徒の皆様であれば一度は聞いたことがあるお経ではないかと思います。そのようなことが語られてているお経であると思い浮かべながら聞いて頂けると、また一層良い功徳になるのではないかと思います。

副住職 合掌