法事は「不要不急」なのか


ここ数日の、一日あたりの新型コロナウィルス感染症の陽性者が緊急事態宣言下を越える状況になってきました。とはいえ医療機関がパンクするような事態ではないようで、4月頃とは状況が異なるようです。しかし、高齢者が重篤にいたる割合は依然高いようですので、檀信徒の皆様方におかれましては、消毒やマスク着用等の対策を十分に行い、何卒ご自愛ください。


「不要不急の外出は避けよう」と言われていた緊急事態宣言下で、「法事はどうしたらよいか」というお問い合わせをいくつも頂きました。法事は、極楽で修行している故人の修行を応援する追善供養であるのと同時に、その方の歩まれた人生を振り返ることで、今を生きている私達自身が自分と向き合う仏事です。在家の方でもできる大切な修行の一つです。しかし、そのために病気になってしまっては元も子もありません。また、余計な心配事があると、心が乱れて集中できませんので、私としても心配ならそれを押してまで急いでやる必要はないと考えていました。ですので問い合わせがあった檀家さんには「もし気になるようであれば今はお墓参りだけにして、落ち着いたタイミングで出来るときに法事をされではどうでしょうか」とお答えしていました。


しかしある檀家さんとのやりとりで、「来年自分が元気かは分からないので、できるなら今のうちにやってしまいたい」と言われはっとしました。コロナ情勢で感染症の心配ばかりしていましたが、もっと別の、「後に残す不安」という心配を抱えている方もいるわけです。「元気なうちにやっておきたい」という望みを持たれた方がいるというのは、私には盲点でした。色々と対策を考えて、この方の希望に沿う形で法事は執り行うことが出来ましたが、もしこの方がちゃんと法事をできなかったとすれば、魚の骨が喉に引っかかったようなもので、しばらくもやもやした気分が続くことになってしまったかも知れません。


法事もそれをやる方によっては「不要不急」とは言い切れません。ですが、心の平穏に保つために必要な方もいらっしゃいます。お寺としましては、3密を避けられるよう十分な換気を取り、マスク着用をお願いするなど必要な対策を取っております。また、一緒に読経をするということも取りやめています。


もし少しでも不安を感じておられるのであれば、気軽にお寺にご相談ください。状況をご説明させて頂きます。法事をやるにしても止めるにしても、色々なやりようがあるかと思います。遠くの人を呼ぶのが不安であれば近い身内の方だけでも、少数でも集まるのが不安であればお墓参りだけでも、供養のやり方はそれぞれです。不安に思っていることを口に出して話すだけでも気持ちが変わります。些細なことでも構いませんので気軽にご相談ください。


合掌 見習い