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法事の冒頭に八回鐘を打ちます。
仏教の八正道の教えを象徴し、仏弟子が実践すべき八つの行いを再確認します。

その八正道の一つの正念があります。心の状態を理解すること。この英語が Mindfulness(マインドフルネス)です。マインドフルネスは、リラックスして集中力を高める実利的な瞑想法として、Google などのIT企業が注目して、本も数多く出版されいますので、耳にしたことがある方も多いと思います。Appleの創業者、スティーブ・ジョブズが瞑想に傾倒していたのは有名です。流行り物のように扱われていますが、仏教の(瞑想そのものは古今東西、古くからあるわけですが)正念が再発見されたというわけです。

IT企業はリラックスして集中力を高めることが、創造性や効率を高めると評価しているようですが、本来の目的はそれとは真逆。生きるとは何か、苦しみとはなにか、人の生の本質を理解するための修行です。その方法は、心の動きを緩やかにし、細かく分解していくことで客観視するという作業です。

正念の反対が雑念です。
瞑想ではまずは自分の体の動きを観察し、次の心の動きを観察します。
例えば最初は呼吸の動きを、ノートに書き留めるように追っていきます。
吸っている、吸っている、吐いている、吐いている、吸っている、吸っている、という具合です。
この修行をまさにノーティングといいます。
次第に落ち着いてくると、心の動きに敏感になってきます。
あ~腹が減ってきたな~、とか
俺は何をしているんだろう~、とか
ノーティングを忘れて、様々な思いが浮かんできます。これが雑念です。
よく、雑念を振り払って! といいますが、仏教ではこの雑念もノーティングするよう心がけます。
自分はこんなことを考えている。雑念が浮かんでいる。とノーティングするわけです。すると次第にノーティングしている自分が心を占めるようになり、雑念は不思議と払われてもとの正念に戻っていきます。 

時として人は、心を怒りや妬み(三毒といったりします)が埋め尽くすことがあります。そのような時、人はまさに我を忘れ、地獄に落ちています。正念を思い出し、怒っている自分をノーティングする。自分や怒っている、怒っている、怒っていると繰り返すことで、強力な負の思念から距離を置くことができ、自分を救うことができるわけです。

法然上人は、この正念に至る、誰にでもできる修行法が、念仏だと発見されたのです。