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10月になりました。10月は神無月とも申します。
出雲大社で神様の会議があり、出雲以外は神様がるすだから「かみなし」月という説もありますが、収穫祭である新嘗祭の準備月であるとか、諸説あるようです。

出雲大社での会議は、翌年の神事(かみごと)を決める話し合いです。特に重要な神事が縁結びで、この時に誰と誰を結びつけるかが決められるとされています。そういう意味で、内親王殿下のご結婚のアナウンスが10月1日に行われたのは、伝統的な季節感にも叶っていると言えるわけです。謹んでお慶びを申し上げたいと思います。

「数千の生存を繰り返す間でさえ、愛するものに再び会うことは不可能である(シャーンティデーヴァ,入菩提行論,7世紀)」

人間は自分が作った業の作用によって生死を繰り返し輪廻しています。
人は生きているうちに、良い行い、悪い行いを繰り返し、その積み重ねが業という形で記録され、決して消えることがありません。その記録がどのように作用して来世につながるのかは、人知の及ぶところではないとされていて、操作することができません。

死んであの世での再会を願う物語は多くありますが、死別すれば再度巡り会うことは難しい。

今、私たちがここにいるのは、親に縁があり、この土地と縁があり、この寺と縁があり、それぞれが万に一つの奇跡のような確率の掛け合わせです。全くもって「在り難い」できごとで、あの世も含めて二度と繰り返されることはありません。

愛し合ったものでも、愛は永遠ではありませんし、死別すれば記憶にしか残りません。その記憶も当人が死ねば消滅してしまいます。すべてが今限り、今世限りです。

だからこそ、今世の出会い、そして何より今を大切に生きることを大切にしなければならないのです。

合掌 住職