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さて、12月師走になりました。
今年も終わりが近づき、新たな年を迎えようとしています。

12月は冬至、つまり日の長さが夜の時間よりも長くなる季節でもあります。

そのことは生命力、命の再生につながり、乗じて新年には、健康であったり、学業であったり、様々な現世でのご利益が願われます。人間誰しも、病気になるよりは健康でいたいし、出世もしたいと願うものです。ちなみにキリストの誕生日も正確には不明なのですが、冬至に乗っかって25日に設定されています。

しかし、法然上人はそのような庶民の願いに対して、

「祈るによりて病いやみ、命のぶることあらば、たれか一人して病み死ぬ人あらん」と弟子に言っています。

法然上人は拝んで病気が直るとはおっしゃらなかった。拝んで病気が直り、寿命が延びるならば、そのような悩みを持つ人は誰もいないはずだと仰る。

仮に一つの病気が治ったとしても、別の病気、次の病気、あるいは老化、老い、別の悩みが次から次へと湧きでてくる。現実には決して死なないということはあり得ないわけです。つまり病気が治ること、あるいは老いないことを目標にしている限り、私たちは決して幸せにはなれません。

法然上人は、阿弥陀佛の本願に乗じようと信じることこそ、決して幸せになれないマインドセットから、抜け出す確実な方法だと発見されたわけです。

新年に気持ちを新たに願い事をするのは、日本の素晴らしい習慣です。
その願いを実現不可能な願いではなく、阿弥陀様の本願にのれますように、あるいはそこから抜け出せるよう、成長できますようにと祈ることができれば、新年は一層良い年になるのではないかと思います。

皆様にとりまして新年がより良きものとなりますように。

合掌 住職