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阿弥陀仏の誓いを信じる者(信仰を持ち念仏を唱える者)は、亡くなると西方極楽浄土に往生し、輪廻の苦から離れることができます。追善供養とは残された遺族が往生した故人の為に、徳を積んで振り向けるという行為ですが、極楽にいる故人に対して苦界にいる私たちができる支援などたかが知れているはずです。法然上人の弟子、親鸞は「亡き父母の追善供養のために、念仏一遍たりとも唱えたことはない」と強調していますが、これも他人に振り向けるような善行ができるような自分ではないという自覚、そして阿弥陀仏の誓いにすがってまずは往生し、悟りを開いて再び救いにもどろうという決意の表れと言われています。

かといって残された家族にとって、葬儀が終わってはい終了というのでは、あまりにも心の整理の時間がありません。そこで浄土宗でも、十三仏信仰をなぞった年回法要を

  • 自らの信仰を深め
  • 故人との関係を再構築して
  • 家族、親族の絆を確認する

ご縁として頂ければとお勧めしています。
十三仏信仰は室町時代に始まる日本の伝統的な信仰です。十三仏信仰では、葬儀後に仏弟子となった故人が、十三の仏を巡って仏徳を授かり、その福徳を遺族・子孫に授けながら成仏していくというものです。遺族もまた、故人のために特に功徳があるとされる日を「忌日(きじつ)」として、追善供養の法要(年回法要)を営んだり墓参をしたりして支援します。
年回法要は、仏と故人と参列者の三者が一体となる聖なる時間と空間です。お焼香や花・供物などの供養を通じ、参列した遺族・親族・知人は、故人の追善と、自己の幸せと死後の安楽を願ってきました。
檀信徒の皆さまにも、ご先祖様が大切にしたこのような時間と空間を大切にして頂ければと思います。

十三仏の概略は次の通りです。[ ]内は裁判官としての名前。

  1. 初七日(7日目・6日後 不動明王[秦広王])
    初七日をもって忌中明けとするところもあるようです。忌中明けをなるべく早くしたいということから、葬儀と同時に行うことも最近は多くなりましたが、本来は四十九日法要として行うものです。
  2. 二七日(14日目・13日後 釈迦如来[初江王])
  3. 三七日(21日目・20日後 文殊菩薩[宋帝王])
  4. 四七日(28日目・27日後 普賢菩薩[五官王])
  5. 五七日(35日目・34日後 地蔵菩薩[閻魔王])
    いわゆる閻魔大王の審判は35日目。輪廻の行き先決定までは、あと二回審判があるわけです。
  6. 六七日(42日目・41日後 弥勒菩薩[変成王])
  7. 七七日(49日目・48日後 薬師如来[泰山王])
    四十九日は満中陰ともいい、故人の輪廻先が決まると言われています。
    神道でも50日祭をもって忌中明けとしており、仏教でも四十九日をもって忌中明けとしています。日本の伝統的な感覚では、近親者がなくなると、遺族も気枯れ・穢れ(ケガレ)の状態になります。昔の人はケガレは伝染すると考え、ケガレの期間は外部との接触をなるべく避け、静かに過ごすようにします。年賀状の交換も四十九日以内は遠慮します。(最近は喪中の人に年賀状を出すのを失礼と見なすようになりましたが、本来喪中は自分の信条なので他人に押しつけるようなものではありません。)
    仏壇や位牌も四十九日までには用意するようにします。
  8. 百か日(100日目・99日後 観音菩薩[平等王])
    卒哭忌ともいいます。儒教の「士は三カ月にして痛哭し卒わる」からきているようです。お礼の挨拶回りや遺品の整理・形見分け、遺産の分配などを一通り済ませ、一区切りがつくころでもあり、けじめを付けて、普通の生活に戻るという意味合いが強い法事です。
  9. 一周忌(2年目・1年後 勢至菩薩[都市王])
  10. 三回忌(3年目・2年後 阿弥陀如来[五道転輪王])
  11. 七回忌(7年目・6年後 阿閦如来[蓮華王])
  12. 十三回忌(13年目・12年後 大日如来[祇園王])
  13. 三十三回忌(33年目・32年後 虚空蔵菩薩[法界王])
    三十三回忌をもって弔い上げとし、以降は先祖代々として合祀してけじめとします。

浄土宗ではその他、十七回忌、二十三回忌、二十五回忌、二十七回忌、三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌、五十回忌も習慣として行われています。年回法要を重ねて行うために考えられたようですので、必ずしも法要をしなければならないという訳ではありません。