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納めの施餓鬼会と呼んでいた供養者報告の法要を、施餓鬼会納会としました。
おかげ様をもちまして、今年も無事に施餓鬼会納会を浄土宗の近隣組内のご就職方の随喜をたまわり、賑々しく執り行うことができました。厚く御礼申し上げます。

納会では、盆施餓鬼のご供養を申し込まれた檀信徒の皆様の、お一人お一人の名前を読み上げて供養します。施餓鬼は自身の健康と長寿と祈る行事です。お盆と一体化してご先祖様の供養がメインになっていますが、本来は別の行事で意味も違います。

施餓鬼会納会では、灌頂洒水を行い参列者と阿弥陀様を結縁し、健康長寿を祈念します。
健康長寿は誰しもの願いですが、特に祈念・祈願されたい方は、納会にぜひご参列ください。

施餓鬼会納会 表白(会式挨拶)

 施餓鬼は餓鬼に施すと書きます。餓鬼は欲しくて欲しく仕方ないものが得られない、手に入らない哀れな存在です。餓鬼は餓鬼道にいるとされます。貪欲な人、嫉妬深い人が餓鬼道に落ちます。その因果を考えると、あの人の息子は良いところに就職して立派だなあとか、嫁さんが美人で良いなあとか、そんな事を考えた事がある人、私自身も時に人には言えないことも考えてしまいますが、いずれは餓鬼道に落ちる餓鬼予備軍です。誰しもが心の中にいずれ餓鬼道に落ちる種を抱えています。

 お施餓鬼は、自分の心の奥底いる餓鬼の種を見つけて取り除く。そういう儀式です。そうするで、あなたは幸せに、健康になれるということをお釈迦様は説いています。

 これはなにも空想の、神話の、妄想の世界の話ではありません。得られないものが得られない苦しみ、身近な家族や友人が思い通りならない苦しみ。これを現代社会は「ストレス」というわけですが、ストレスが寿命を縮めることは、医学の研究からも明らかになっています。ストレスが大きい人は、がんや脳卒中、心臓発作を起こしやすい。仏教はストレスを除く処方箋です。

餓鬼陀羅尼経というお経には、お釈迦様の弟子の阿難のところに焔口という餓鬼が現れ、「おまえは三日後に命がつき、餓鬼の世界に堕ちる」と脅かします。阿難はびっくりします。続けて焔口は救われる方法も説明します。翌日までに、何億という餓鬼、十万人のバラモンに対して、インドのマガダ国のハカリで一人あたり一マス食べ物を提供し、さらに佛と佛の教え、そして僧侶の三宝に供養すれば、焔口も餓鬼道を離れて天上に生まれ変わることができ、阿難も救われると言います。

これはつまり、全ての人の欲望を満たせという実現不可能な方策です。

困った阿難は急ぎお釈迦様の所に向かい、どうすれば良いかと尋ねます。お釈迦様は、米一粒が何倍にもなる陀羅尼、のうまくさらば・・・で始まる呪文を教え、仏を供養すれば、すべての餓鬼・バラモンを供養することができ、皆救われると教えます。

この部分はやや短絡的ですが、仏道の修行の入り口を示しているわけです。なにかモノが必要なのではなく、供養するという気持ち、つまりそれは自分の心持ちが健康長寿の秘訣である事を教えているわけです。

合掌 皆様が健康で長生きできますように。
住職




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