12月8日はお釈迦様が悟りを開いた日です。明け方、菩提樹の下で瞑想を続けていたお釈迦様は、明けの明星、つまり金星を見ながら悟りの境地に到達されたといわれています。このことを成道といいます。
お生まれになったのは4月8日、亡くなったのは2月15日。キリストの誕生日の12月25日は皆さんもよくご存じですが、日本人であればお釈迦様のこの三つの日付は覚えておきたいものです。
明け方、「ああついに悟った」と確信したお釈迦様が口にしたといわれる言葉が、
「大地有情非情同時成道」
というお言葉です。
特に禅宗では重要視される大切なお言葉です。この後には有名な「山川草木悉皆成仏」と続きます。日本人の自然観と符合したのか、後半の言葉は馴染みがありますが、前半の方はあまり知られていません。しかし重要なのは前半のほうではないかと思います。
大地は「この世界」というような意味です。「有情」は感情や意識を持つ生き物のこと。「非情」とは意識を持たない物質のことです。非情なヤツ、といったりしますが、情けがないという意味ではなく、感情や意識がないヤツ、が本来の意味です。
お釈迦様は、12月8日の明け方、
「ついに悟りを開いた。この世に生きているもの、物質的なものも同時に悟りを開いた。」
と仰ったというわけです。
内容は非常に哲学的で分かりにくい内容です。
お釈迦様は、「私」という存在を、他人との関係性の中に見いだしました。それを突きつめると、自分と他人という区別には意味がないということになります。とすれば、私が悟りを開いたのであれば、他の全ても悟りを開いたことになる、もしかしたらすでに悟りを開いている世界に、自分が気づいただけ、なのかもしれません。
なかなかこの領域に達することはできませんが、いずれはお釈迦様ような境地に立ちたいものです。