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DSC00986_151231除夜の鐘

謹賀新年
明けましておめでとうございます。
本年が皆様にとってよい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

世界的に見れば、昨年は中国をはじめとする新興国経済の停滞やイスラム国の拡大、国内を見れば安全保障の問題や原発問題、高齢者と若者の対立など、世界や国の枠組みを揺るがすような対立が目立つ一年だったように思います。私自身は、現在の世界の枠組みが絶対的に正しく、このままで良いとは思っていませんが、やはり変化のしようがあるのではないかと思います。

日本では「和」を大切にする。日本人の美徳とされてきた「和」も、近頃は変化を邪魔する悪癖のようにいわれたりもします。「和」の大元としてよく聖徳太子の「和をもって貴しとなす」が取り上げられますが、この和は「わ」ではなく「やわらぎ」と読むことを皆さんご存じだったでしょうか?

「和(わ)」といわれますと、状態としての「和」、すなわち対立のない到達地のような印象を受けますが、「和(やわらぎ)」といわれますと、それは状態、プロセスのような印象を受けます。いわゆる一七条憲法で、「和をもって貴しとなす」はこう続きます。和する事を貴い目標とし、道理に逆らわない事を心がけよ。人には皆仲間がいるものである。しかし道理に通じている人は少ない。だから天子や父に従わないものや、隣(村)のものとも意見が違ったりするものもでる。しかし、上のものは和(やわらき)、下のものは睦む気持ちで議論すれば、結論は自ずと道理にかなったものになる。そうすれば何事もできないことはない。

最初に和することを目標といいながら、最後はすべきことをもって何事もできないことはないと締めくくっており、私には「和(やわらぎ)」は目標というよりはプロセスであるように思えるのです。

日本は平成21年に人口がピークに達し、その後6年間で120万人も人口が減少しました。日本は戦争や疫病以外で減るという、人類が経験したことのない事態に直面しています。あらゆる局面で、従来の成功体験が通用しない変化が起きています。確実な答えを持たない以上、大切なのは、皆でこれをどう乗り越え、どうやって私たち一人一人がより幸せになるかということではないかと思います。そこでは改めて「和をもって貴しとなす」が輝きを持つように思えるのです。

改めて一年の年頭にお祝いを申し上げます。

副住職

合掌

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