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たとえ博学であり、どれほど知識があっても、自己自身を知らなければ、真に知識ある人とはいえない。だから、自己自身を知らないで他のことを知るということはありえない。  (盲安杖)

盲安杖は鈴木正三という臨済宗の僧が、江戸時代初期に書いた本。書いた時は僧侶ではなく徳川の旗本で、大阪城の警護をしていた。同僚に仏教の反社会性を問われて、それに反論するために書いたとされている。家族を捨て、何も生産せず、物乞いのように托鉢で日々の糧を得る生き方を、世の中の役に立たないのと非難されたのである。盲安杖とは「盲人が安心できる杖」という意味で、盲人とは我々のことを指す。

私たちは、自分のことは棚に上げて、他人や世の中についてはあれこれと関心を寄せる。他人を知ることで自分を省みようとしているのだが、そのことが疎かになることが多い。自分を確立し、よく知ることで、他人や世の中のことも分かるようになるものである。そういう人が、他人からも信頼され愛されるのである。