
8月13日はお盆の迎え火でした。前日の台風の影響で、どうなるかとやきもきしましたが、当日の朝は雨も降らず、多くの檀信徒が迎え火を貰いに足を運ばれました。午後から天気が再び崩れるという予報でしたので尚更だったのかも知れません。
今年特に心を打たれたのが、お父様やお母様が、すでに成人された息子さんや娘さん、あるいは小さな息子さんや娘さんをつれて、「こうやってお火をもらうんだよ」と、丁寧に教え、伝えていらっしゃる姿を多く見かけたことでした。
当山では午前四時半にお盆の法要を行い、そこで灯した佛様の前の灯明をランタンのろうそくに移します。檀信徒の皆さんは、その火を大切に持ち帰って我が家でご先祖様をお迎えする準備を整える。そのご家族の佇まい、佛様の前にあった小さな火が次々と多くの檀信徒によって分けられ広がって行く様子に、私は感動してしまいました。
7割の日本人が、自分は無宗教だと答えるようですが、少なくともお盆の行事に参加している方は、立派な仏教徒だと思います。8月13日(もしくは7月13日)には、日本中でこのような景色が見られるわけで、お盆は西洋でのクリスマスに匹敵する宗教行事だろうと思います。
仏教には『無尽燈(むじんとう)』という言葉があります。一つのろうそくから別のろうそくへ火を移しても、元の火の明るさは減りません。それどころか、明かりがふたつ、みっつと増えて、暗闇がどんどん温かい光で満たされていきます。佛の教えもまた同じだという教えです。『維摩経(ゆいまぎょう)』という経典にある話です。
形あるものは、いつか失われます。
しかし、お寺の仏様の前から分けられた火がご自宅での迎え火となり、親から子へと手渡されたご先祖様を思う心、他者への感謝と慈悲の心は、まさに無尽燈のごとく広がり、時間を超えて永遠に繋がっていくものなのではないかと思います。
夏休みも残り少なくなって参りました。
皆様もどうか、かけがえのない時間を有意義に豊かにお過ごしください。
合掌 住職
※ クリスマスのキャンドルサービスはまさに「無尽燈」ですね。