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お彼岸の時期になると、お寺界隈ではよくみる俳句です。

今日彼岸 菩提の種を蒔く日かな 

「芭蕉作と言われている」と多くで続くので、実際は違うのかもしれません。
しかしなかなか味わい深い俳句です。

この句には重要な言葉が4つ含まれていると思います。

一つ目は「彼岸」。
向こう岸という意味で、三途の川の向こう側、つまり浄土を指しています。昼と夜の時間が同じになる春分秋分の日は、あの世とこの世が最も近くなると縁日で、祈りも届きやすいと考えました。

次が「菩提」。
菩提とは悟りの境地で迷いや苦しみのない世界を表します。菩提の種とありますので、悟りに至るきっかけというような意味になります。

そして「蒔く」。
悟りに至るきっかけを、自分自らで蒔こうと呼びかけているわけです。

最後が「今日」。
まさにお彼岸の日、今日3月20日くらいは菩提の種を蒔こうではないか、という呼びかけにも見えますし、別の解釈をすれば、今日とは限らない、いつでも今日を彼岸と思って、人生のどの瞬間からでも、菩提の種、悟りへの道を歩み始めようという呼びかけにも読めます。

今日という瞬間の大切さと、つねに菩提の種を育てて蒔いていくことを心がけようという願いを、この短いに句に託しているのだと思います。

3月のテンプルモーニング。