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DSC00644_お盆

仏道では、雨期を夾んで約90日間、安居(雨安居:うあんご)と称して修行に集中します。僧侶の生活は、行脚遊行と托鉢が中心となるわけですが、この期間はお寺に集まって移動しません。雨期は植物が生い茂り、虫や動物の活動も活性化することから、少しでも殺生をしないために、と言われています。また、雨期は道がぬかるんだり氾濫したりと、実用的にも移動が難しかったからかも知れません。
日本の安居はおおよそ4月15日~7月15日(旧暦)とされています。雨期が異なる東南アジアでは、7月から10月頃。タイなどの仏教国では、7月の入安居は衣や食料を寄進しにお寺を回るお祭りが盛大に行われます。一方、10月の出安居の時には灯籠流しや火祭りが各地で盛大に行われます。
この安居の最終日を盂蘭盆といいます。禅宗では解夏と言ったりもします。少し前にさだまさしが「解夏」という短編集を出しましたね。
盂蘭盆の日は、修行を終えたお坊さんがお寺から出てきますし、信者さんも食料や新しい衣類をお寺に届けて功徳を積む、そういうお祭りの日なのです。

さて、この盂蘭盆に絡めて、一つの物語があります。盂蘭盆経というお経に書かれた物語です。

安居の最中、釈迦十大弟子の一人、神通第一と謳われた目連が亡くなった母親を神通力で探します。優しかった母はきっと天上界にいるに違いないと思ったが見当たらない。方々探しまわり、やっとのことで餓鬼界に落ちている母を見つけます。母はやせ細り骨と皮だけという姿になっています。目連は水や食べ物を母に食べさせようとしますが、口に入れる直前に燃える炭になってしまい、食べさせることができません。目連はお釈迦様に聞きます、「なぜ母は餓鬼界などに落ちたのでしょうか。どのようにすれば救うことができるのでしょうか?」と。釈迦は答えます。「目連よ、お前の母はお前にはとても優しい良い母であったが、お前を可愛がるあまり、他の子供には、ものを惜しみつらく当たった。それが原因で餓鬼界に落ちたのだ」と。そして「盂蘭盆の日、修行を終えた全ての比丘・比丘尼(修行僧)に食べ物を施しなさい。そうすればその喜びが餓鬼界にも伝わり、餓鬼界に落ちた者も救われるだろう。」と。

このようにして、父母の恩に感謝を捧げる行事、盂蘭盆会(お盆)が始まったというわけです。
お寺では、お盆のお布施をお持ちの方に、盆粉(上の写真)を布施行のお印としてお渡ししています。お盆の時に、これでお仏壇やお盆棚にお供えするお茶を淹れて頂ければ、ご供養もさらに届きやすくなるかもしれません。

こんなお話をしますと、
今時安居の特別な修行をしている坊さんなんているの? とか、
そもそも盂蘭盆経は、中国で作られた偽経じゃないの? とか、
まあ、細かいことを言われることもありますが、一年に一度、父母(特にお母さん)の恩に感謝する行事として、楽しんで頂ければと思います。
お母さんは、きっちりと息子・娘にやるようにと、プレッシャーをかけておきましょう(笑)。

さて、お盆の時期のもう一つの行事として、お施餓鬼があります。
お盆とお施餓鬼は本来別の行事ですが、餓鬼つながりで同時期に行われることが多いようです。
これらがどう違うのかなど、詳しくはこちらをご覧下さい。

合掌
副住職

Categories: 行事

1 Comment

お盆の準備(8月1日、8月7日、8月12日) | · 2013年8月13日 at 09:55

[…] 仏道では梅雨の期間、あまり表に出ず寺の中で修行に励みます。この期間を安居(あんご)といいます。インドでは安居の最終日を盂蘭盆と呼んでいました。いつの頃からか、盂蘭盆に時期を合わせて行われる行事もお盆と呼ぶようになりました。日本の盂蘭盆は7月15日前後ですが、明治に旧暦から新暦に改暦したときに、都市部ではそのままの7月15日に、農村部はその時期、繁忙期に当たるということで、旧暦の7月15日に近い新暦8月15日をお盆としています。 […]

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