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意外に思われるかも知れませんが、3月は教員にとって憂鬱な季節です。
大学の研究室は、卒論を書きに来る4年生の一年間と修士の二年間、博士過程に進学する学生はそれ以上、と多くが3年間は机を並べます。
理系の研究室の雰囲気をご存じない方も多いかと思いますが、中小企業の町工場を思い浮かべて頂けると一番イメージが近いかと思います。違うの古参といってもせいぜい4,5年いる博士課程の学生がいる程度で、あとは長くとも三年間で卒業していきます。社長である教授、後は先輩、後輩の差はあるものの皆平社員。本業である研究のほか、一緒に出張にでかけ、ご飯を食べ、時に合宿に出かけて野球やサッカーをしたりと、かなりの時間を共に過ごします。寝食を共にするというと大げさですが、それに近いのが理系の大学の研究室です。
学生と3年も付き合っていると、どういう性格なのか、どういう彼女と付き合っているのか、どういう事が得意なのか、大体分かってきます。頼んだ仕事も大体できるようになって、時には気を利かせて先回りしてくれたりもし、頼もしくも思えてきます。町工場と違うのは、やれやれと思ったところで、みな卒業していなくなってしまう。それは教師の楽しみでもあり、また寂しいところでもあります。
3月は卒業する学生が研究室にも来なくなり、普段よりちょっと寂しくなる。そういう季節です。
他方、卒業する側に立てば、新しい環境、出会いへの期待に胸を膨らませています。ひょっとすると一生の師と呼べる人物に出会えるかも知れません。

お釈迦様も、出会いとはどういうものか、指導者とはどういうものか、折々に触れています。

過ちを指摘し、叱責する知者に会ったならば、あたかも宝の有りかを告げる人のように交わるべきである。
そのような人と交わる者には、善いことばかりで、悪いことはない。(ディーガ・ニカーヤ)

よく気をつけていて、明らかな智慧医がり、学ぶ所が多く、忍耐づよく、戒めをまもる、そのような立派な聖者・善き人、英知のある人に親しみなさい。
月がもろもろの星の進む道にしたがうように。 (ダンマパダ)

よき指導者には好き嫌いの心がない。あたかも大海があらゆる河川の流れを呑み込んで、同一の鹹味とするように、同一にして無私である。(華厳経)

善き指導者とは、どのような人であろうか。あらゆる事象は空であり、無相であり、造作を超え、生ずることもなく、滅することもないということと、
および仏の智慧とを説いて、人々に歓喜の心を起こし、喜んで教えを信ずる心を持たせる。このような人を善き指導者という。(般若経)

このような人に一人でも多く出会いたいものですし、また自分もそうであろうと心がけたいものです。

合掌