TEL:0480-61-0850
FAX:0480-62-7900
info@ryuzoji.jp

新春の候、檀信徒の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

大晦日では少し雨が降りましたが、今年の元旦は殊の外朗かで、過ごしやすい正月となりそうです。

昨年の冬の寺報でも、ウクライナ戦争の終結を願いましたが、現実は終結するどころかイスラエルでの紛争も加わり、世はますます混沌としてきたように思います。一方、日本の能天気ぶりはテレビのニュースを見ていても際だっているように思え、マザーテレサの「愛の反対は憎しみではなく無関心だ」という言葉を思い出さずにはいられません。この無関心がどのような形で応報するのか。

戦争は自我と自我のぶつかり合いです。私の土地、私の民、私の歴史、私の宗教、そういった自我が争いを生みます。自我を強調する言説や行動はすべからく戦争の助行となります。自我の反対は無我であり無私の行いです。

仏教の根本行である六波羅蜜の一つに「忍辱(にんにく)」があります。これはいかなる侮辱や迫害にも怒りを起こさず耐えることです。究極的には命が危険にさらされても、相手を哀れみ非暴力を貫くよう教えます。もちろんこれを実社会で実践するのが困難であることは理解できます。家族が殺されそうになれば、武器を手に取るのはやむを得ないでしょう。しかし仏教的な視点から見れば、このような場合でさえ悪であり、避けるべき罪であり、慚愧すべきことなのです。

  戦場にて千人の敵に 千度勝つものよりも
  ただ一人の敵、自己、に勝つものが
  実に最上の勇士である。
                (法句教)

新年が皆様にとってより良きものとなるよう、心よりお祈り申し上げます。