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各種調査を見ますと、複数人世帯では戸建住宅でも半分、集合住宅だと8割の世帯で仏壇がないそうです。仏壇は平安貴族が建てた持仏堂が庶民に広がったものと考えられますが、その役割は、一つには住まいにおける「祈りの空間」を作り出すこと。もう一つが先祖供養、つまり弔いの場を作ることです。
加須周辺の檀信徒のご家庭ですと、9割以上には仏壇がある印象ですが、それでも若い世帯を中心に、仏壇のない家が増えています。
家庭から祈りが消えてしまうのは寂しいことですし、精神的な成長を重視しなくなったという意味では退化してしまったといえるかもしれません。
アジアでは先祖供養の空間が家の中にあることがよくあります。アジアの輪環的な死生観からか、死者をより身近に感じることができるからかも知れません。欧米やイスラムでは、復活の日まで安らかにお休みください、さようなら、であっさりとしたものです。
周りの死者が悪さをしないようにちゃんとお祀りする。ちゃんとお祀りすることとを通じて安心したわけです。面白いことに、梁の上を死者の空間と考えるのもアジア共通のようです。生きている方の写真を梁の上には飾りませんよね。梁から上が死者の空間で、生きているものは下にいるわけです。仏壇はその上下をつないでいでいるわけです。
最近の家は大壁が多いですし、マンションだと当然梁はありません。そんなことはないと思いますが、梁の有無が仏壇にも影響しているのかも知れません。

個人的には多くの方が病院でお亡くなりになるようになり、住まいから「死」が遠くなった影響が大きいように思います。「死」の穢れを祓う必要がなくなったので、死者を祀ったり、その道具である梁や仏壇も要らなくなったわけです。

しかし、祈りの空間がなくなり、生活から祈りがなくなるのは非常に残念です。最近は、マインドフルネスと言いかえて、瞑想や祈りの効用が見直されています。現代的な住宅でも集合住宅でも、少し工夫して祈りの空間を持つことができれば、生活が一層豊かになるのではないかと思います。

お寺では仏壇がない家庭やご子息、娘さんの住まい用に、ご本尊の阿弥陀如来像のカードをお配りしています。フォトフレームにお飾りすれば、立派な現代的祈りの空間のできあがりです。お気軽に寺務所でお申し出ください。