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お盆の定番の設えに五如来幡があります。今年はお寺でもご縁があった方には、この幡をお配りしています。水溶性の紙でできており、お近くで精霊流しができるようであれば、一緒に流されるのもよいでしょうし、お寺にお参りに来られたときに墓地に納め置き(風で飛ばないようにお願いします)されるのもよいでしょう。間違ってもトイレに流したりされぬように。

お盆の飾りの定番となっている幡ですが、お盆のお経「盂蘭盆経」には登場せず、お施餓鬼のお経である「救抜焔口陀羅尼経」に出てきます。ですから正確にはお施餓鬼の設えということになりますが、多くのお寺、地域でお盆とお施餓鬼は夏の行事としてセットで行われていることから、お盆の設えとして混同されていったのだと思います。救抜焔口陀羅尼経では、東方に向かって棚を設け、陀羅尼と五如来(宝勝・妙色身・甘露王・広博身・離怖畏)の名号念誦を行えば、その加持力によって餓鬼の罪障を滅し、飢渇を除き、天人道や浄土へと往生させるとあります。お施餓鬼の法要では、阿弥陀様に正対する形で施餓鬼棚が設けられますが、お経にもそのようにしろと書かれている訳です。この餓鬼を救うという行為によって、お釈迦様の弟子の阿難は寿命が延び健康を維持できたという内容になっています。このような利他によってこそ、我々は幸せで健康になれるという真理を教えてくれているわけです。

お盆とお施餓鬼のお話は、こちらにもお話がありますので、是非ご一読ください。

 

さて五如来幡ですが、中央に大日如来を配し、東西南北に各如来を配する金剛界曼荼羅を模していますが、浄土宗では中央には阿弥陀如来の別名である甘露王如来を配しています。
順番に右から説明しますと、
過去宝勝(かこほうしょう)如来は南方の仏様で釈迦如来の別名。
妙色身(みょうしきしん)如来は東方の仏様で、阿閦(あしゅく)如来の別名。あまりメジャーな仏様ではありませんが、揺るぎない心、誘惑に打ち勝つ強い心を表しています。
甘露王(かんろおう)如来は西方の阿弥陀仏の別名。甘露とは飲むと不老不死になる神々の飲み物ですが、転じて心身の健康を表します。
広博身(こうはくしん)如来は本来中央に配される大日如来の別名ですが、密教系では中心的な仏様です。大日とは真理、宇宙、世界そのもので、他の仏も大日如来の化身と考えられています。
離怖畏(りふい)如来も釈迦如来の別名で北方の仏様です。

これだけのオールスターキャストでご供養するんだから、餓鬼も往生間違いなし、というところでしょうか。

ちなみに、お寺の玄関の仏様のお飾りはこんな感じになっております。
このような伝統的な行事を、由来などを確認しつつ、一つ一つ家族で行うことも、夏の一つの楽しみかと思います。

熱い折です。皆様ご自愛ください。

合掌 副住職