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信州善光寺本堂前の写真

先日、長野県にある浄土宗大本山の一つ、善光寺に研修に行ってまいりました。早朝の境内を歩きますと、仕事前と思われるサラリーマンや登校中の学生、老若男女様々な方が一生懸命に手を合わせる様子を目にし、善光寺への崇敬を感じました。

善光寺は天台宗と浄土宗の二つの宗派が管理する寺院です。毎日の朝のお勤めも天台宗式と浄土宗式の法要が行われます。この朝のお勤めを善光寺では「お朝事」というのですが、その名物となっているのが、導師が数珠で参拝者の頭をなで、功徳を授けるという「お数珠頂戴」で、参道にも多くの人がひざまずいて待機しています。研修が始まる前に少し時間がありましたので、私も「お朝事」に参列することができました。しかし、天台宗の導師からお数珠を頂戴することができたのですが、残念ながら浄土宗の導師からはお数珠を頂戴することができませんでした。浄土宗の僧侶としては大失態です。反省。

研修では、加行(僧侶として認められるための最後の修行)で一緒だった方と思いがけず再会することもできました。関東のお坊さんですが加行後は特に連絡を取り合うこともなく、三年ぶりの再会でした。その方は私の親ほどの年齢で、いろいろと経験された後一念発起して僧侶の修行に入られたのですが、加行では同期として苦楽を共にしました。互いの発心が無ければおそらく出会うことのなかった二人が、遠く離れた善光寺で再会したことに、どこか不思議な縁を強く感じました。これも日本最古と言われる阿弥陀様(秘仏とされ直接拝むことはできませんが)のご利益かも知れません。

加行では多くの方とご一緒しましたが、その後は特に連絡を取り合うこともありませんでした。しかし今回、このような再会をしてみると、それがなんともったいないことかと気付かされます。一方で、最近は年賀状でかろうじて繋がっているご縁も終わりにする「終活年賀状」なるものも流行っているようです。昔に比べ、日常的に出会う人の数も多いですし、面倒なこともそれなりにありますので、仕方ない面もあるように思いますが、少し寂しくも感じます。

しかしよく考えてみますと、人が出会って仲良くなる、ということは、とてつもない数の偶然の重なり、奇跡的な確率の低さであることがわかります。それが繰りかえされるとなると、それはもはや奇跡と言ってよい確率です。やはり特別なご縁、ひょっとすると前世からのお付き合いなのかも知れません。できるだけ大切にしたいものです。

 さて、今回のご縁、再会では信州そばの大盛りをごちそうになってしまいました。早速の「お数珠頂戴」のご利益だったのかも知れません。

見習い  合掌