初夏の訪れと衣の色

青々とした新緑が目にまぶしく、初夏の訪れを感じます。外出自粛、在宅勤務で季節の変化を感じづらいかもしれませんが、新緑の若々しい輝きから元気をもらい、この苦境を乗り越えていきたいものです。


新緑の鮮やかな若葉色を「萌黄色」と呼びます。この萌黄色は、浄土宗では僧侶になって最初に着衣を許される衣の色です。日本の仏教では、修行を積んだ年数や修行の内容によって着衣できる衣の色が決まります。紫色の衣が一番上と思われがちですが、浄土宗では大僧正のみが身につけることができる鮮やかな赤色、「緋色」というのがあり、これが一番上になります。


では、なぜ萌黄色が新米僧侶の衣の色とされたのか。仏教では、ただの人が成仏できるのは、その種となる「仏性」が備わっているからではないかと私は考えます。『涅槃経』には「一切衆生悉有仏性」とあり、誰にでもこの仏性は備わっており、それを育てることで成仏できると考えます。しかし現実には、多くの人がそのことには気付きません。種に水や光を与えないと芽が出ないのと同じように、仏性があったとしても、それに気づき、仏となるための正しい行いをしなければ、悟りの芽は出ることがありません。萌黄色はまさに、仏性という種から若葉が出かけていることを、衣の色で表しているのです。法要で萌黄色の坊さんを見かけたら、そういうことなんだなと思い出して頂けると有り難いです。

現場では、ご高齢の坊さんも萌黄色を着ることが良くあります。あの年で出家して坊さんになったのかしら、偉いなあ~と、思われるかも知れませんが、初心を忘れないようにと、萌黄色を着続ける場合も多いようです。私もこのような謙虚さを倣い、常に初心を忘れぬよう精進したいと思います!


先行きの見えないご時世ですが、出た芽は大切に育て、いつかは大輪の花を咲かせたいものです。この厳しい時代を皆で乗り越え、多くの花で満たされた美しい未来が訪れることを祈り申し上げます。

合掌 見習い