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謹賀新年明けましておめでとうございます。
皆様と共に、新たな年を迎えることができたお喜びを申し上げます。

令和4年の念頭に際し、COVID-19の終息後、お寺がなすべきことは何か、ということについて考えたいと思います。

COVID-19の流行が始まりましたのは、2020年の春でしたので、コロナ禍もいよいよ3年目に入ります。もともと専門家の間では、終息には3年はかかると言われていましたので、現在の状況は概ね想定の範囲内ということだそうです。

ウイルスには細胞も神経もなく、ほぼ遺伝子だけの存在で、宿主となる動物に寄生しなければ生きていけません。当然感情や思考など持ち合わせていないわけですが、その毒性や感染力の変異を見ていますと、あたかも意思を持っているかのようです。

元は森の中でコウモリなどと仲良く共生していたわけですが、何かのきっかけで人間の世界に放り出され、なんとか生き延びようと身近にいた人間に取り付き、生き延びようと必死にのたうち回った結果が今回の流行の発端です。 COVID-19の原因となる、ウイルス、SARS-CoV-2 にしてみれば迷惑な話です。一方、人間側も多くが予防接種をしたり感染したりして、抵抗力を徐々につけてきました。 通常ウイルスとしては、こうなってくると 感染力は強いが毒性は低いウイルスに変異して、広く分布して生き残りを図ろうとします。そして最終的には多くが感染するか、予防注射で抗体を持つかして集団免疫を獲得して終息に至ります。現在日本でも流行しつつあるオミクロン株も、その最終段階だとする専門家もいるようです。

マクロな目線で見ればそういうことになるわけですが、一方ミクロの目線で見れば、弱毒化したウイルスでも致命傷となる方はおられるわけで、そこはなんとか仏様の力も借りて、最後の山を乗り越えていきたいものです。

COVID-19 が社会に与えた影響は、諸外国に比べるとあまり大きくないと私自身は考えていますが、この流行が家族に与えた影響は大きいように思います。戦後、様々な反省から大家族、あるいは家父長制度の解体が進められました。1990年代には、家族の解体は完了したといわれていました。その大家族、あるいは村社会の代わりとなったのが「会社」でした。会社は懇親会に運動会、社員旅行に結婚の世話までして、疑似家族としてその代わりを果たしました。

2000年代に入ると、会社も余裕がなくなり、また個人主義的な傾向の強まりもあって、 疑似家族としての会社も弱体化しつつあったわけですが、 COVID-19の流行は、この疑似家族的コミュニティーにも最後の一撃を加えたように思います。忘年会も新年会もなくなってしまったわけですが、いろいろ聞いていると、積極的に元通りにしたいと考えるは一定の世代以上だけであって、それ以下の世代は、「まあこのまま無くてもいいんじゃない!?」という感じのようです。

一方、家族の側の状況は複雑です。少し前から、私は「家族リバイバル」と呼んでいますが、家族でのイベントをしっかりやろう、家族の絆を強めようという傾向が強まっていると感じていました。家族の解体の反動、あるいは会社の弱体化がその原因かもしれません。そういう状況で、オンラインによる在宅勤務で、多くが家族の価値、あるいは地域社会の価値を再確認しましたが、その範囲は極めて狭い範囲で、世帯を超えることはないようです。あくまでも核家族単位の話であって、大家族の復活とまではいきません。

むしろ解体された大家族の、かろうじてその残渣として残っていた毎年の帰省、里帰りという習慣にも、 COVID-19 は一撃を加えました。帰省はキャンセルされ、葬儀や法事も最低限の人数でとなり、こちらも元通りにはならないかも知れません。

大家族は一層解体されたが、核家族の価値はより濃密(時には濃密過ぎることが問題)に再確認。会社も疑似家族としては機能しない。そういう状況の中で、人と人との繋がりをどのように作っていくか、心のセイフティネットとしてのお寺の役割がもっと考えなければならないのではないか。お釈迦様の教えに助けとなる知恵があるのではないか、お寺の役割があるのではないかと考えています。

檀信徒の皆様のご助力とアイデアを賜りたく、今年一年引き続きよろしくお願い申し上げます。

合掌 住職