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四つ目が諸行無常です。すべては無常。永遠に続くものは何もない、という真理です。無常であるが故に別れは必然であり、同時に苦しみもまた無常であるが故に希望があるわけです。世の中の悲しみ、はかなさ、辛さを根本的に癒すには、この無常という真理に気づく必要があります。このことを示されたのがお釈迦様であり、仏道という生き方ということになります。

「むじょう」という音を聞きますと、「ああ、無情」、「レ・ミゼラブル」の情けの無い無情の方を思い浮かべる方が多いように思いますが、こちらはより「はかなさ」に重点が置かれているように思います。日本は季節の変化に富み、また自然災害が多い国ですので、この「はかなさ」という感覚が、他の国の方々よりも身についているように思います。方丈記の冒頭「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」が示す無常観は、戦争や出世競争の「はかなさ」に重点を置いて書かれ、今なお多くの読者を獲得しています。しかし、はかなさだけでは日々の生活の指針にはなりません。

お釈迦様は『世の中のすべてものは、うつろいゆくものである。それゆえ、自ら努力して生きよ』(遺経経)という言葉を残されています。今風にいえば、会社や国にたよらず、家族からも自立し、法を寄る辺として自ら精進努力する。そういう自分を作り上げていくことが、仏教者としての日々の生き方であると言っているわけです。